PCエンジン
かつて、日本のゲーム業界がファミコン一色だった頃、その牙城を切り崩すべく燦然と立ち向かったハードがいくつかありました。その中に、PCエンジンというハードがあります。知っている人の間では、ただのギャルゲーマシンとしてしか見られないハードです。実際にはそんなことはないんですけどね。しかし、なぜギャルゲーマシンとしてしか見られなくなってしまったんでしょうか。
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PCエンジンとは
PCエンジンは、1987年10月にNECから発売されました。当時、NECがゲーム業界に参入するということでかなり話題に上りました。最近の例で言うと、マイクロソフトがXboxでゲーム業界に参入したようなもんです。当時のNECのコンピュータのシェアは尋常ではなく、特に16ビットマシンでは独占状態だったといっていいくらいです。その、コンピュータに実績のある会社が参入してきたのですから、話題にならないわけはありません。価格は24800円と、当時頂点にいたファミコンよりも10000円高い値段でしたが、元がパソコンメーカーですから、こんなものでしょう。
PCエンジンの性能とソフト
PCエンジンは、ファミコンとの差別化をはかるために、グラフィックと音源を大幅に強化していました。ファミコンに対して、質で勝負を仕掛けたわけです。また、本体の値段は確かに高かったのですが、ソフトの値段はそれほど高いものではありませんでした。ファミコンのカートリッジに対して、PCエンジンは「Huカード」というカード式のROMを使っています。当時のファミコンのソフトの値段が徐々に高くなっているのに対し、PCエンジンのソフトは4500円と非常に手軽でした。NECの「やるからにはトップを目指す」という意気込みが感じられます。本体と同時に発売されたソフトは、当時子供たちの間で大人気だった「ビックリマン」や「カトちゃんケンちゃん」を使ったゲームを投入しています。しかも、当時アーケードで大人気だった「R−TYPE」というシューティングゲームの画像をこれでもかといわんばかりに広告媒体に投入し、その画像の美しさをアピールすることに成功します。個人的にも、R−TYPEやりたいからPCエンジン欲しいと思ったものです。高くて買えませんでしたけど。
コア構想とその失敗
PCエンジンを少しでも知っている人にとっては常識ですが、PCエンジンはコア構想というものを持っていました。これは、PCエンジンを中心(ホスト)として、周辺機器をじゃらじゃらくっつけて機能拡大し、PCエンジンにパソコンの本体と同様の役割を持たせようとしたものです。パソコンメーカーらしい発想です。その一環として販売されたのがCD−ROMです。PCエンジン本体の発売から約1年後の1988年12月に、ゲーム機初のCD−ROM媒体として販売されました。しかし、当初の値段は54800円とかなりの高額商品で、普通にゲームやりたいと思う人が簡単に手を出せる代物ではありませんでした。CD−ROM以外にもPCエンジンの周辺機器はいろいろ販売されましたが、値段は高いくせに機能は中途半端という購買層を全く無視した商品ばかり販売した結果、どれもこれもぱっとせず、コア構想の産物として生き残ったのはCD−ROMだけになってしまいます。そのCD−ROMも、後に販売されるPCエンジンとCD−ROM一体型マシン「PCエンジンDUO」の販売がなされることになり、コア構想は終焉を迎えることになります。
PCエンジンの凋落
PCエンジンは確かに画像の美しさは他のハードを凌駕していましたが、機能の良し悪しが成功するかどうかを左右するわけではありません。どれだけ遊びたいと思わせるソフトを供給するかが勝負の分かれ目になるのですが、この点でPCエンジンはファミコンやスーパーファミコンに劣っていました。当初はナムコ辺りも積極的にPCエンジンソフトを供給していましたが、販売本数の低迷から徐々に力を入れなくなっていきます。CD−ROMは確かに他のハードとの大きな差別化には成功していますが、元のハードの値段が高すぎるのでは、いくらいいソフトを販売しても購入促進にはつながりません。結果、一部の熱狂的なマニア以外は全てスーパーファミコンに流れてしまうという状況を覆すことができず、PCエンジンはひっそりと販売を続けていきます。そんな中、ある1本のソフトの登場により、PCエンジンは大きく注目を浴びることとなります。
ときめきメモリアルとPCエンジンの方向転換
1994年に、あの有名なコナミからある1本のPCエンジンソフトが発売されます。タイトルだけは知っている人も多いであろう、あの「ときめきメモリアル」です。このゲームは、一言で言うと、「女の子に告白してもらうために高校3年間で自分を磨く」というシミュレーションゲームなのですが、当時このようなタイプのゲームはほとんど存在しておらず、プレイした人間に衝撃を与えました。こういったソフトは口コミで広がっていくのが常ですが、ときめきメモリアルもその例に漏れず、「何やらPCエンジンで面白いゲームがあるらしい」という形で徐々に広まっていきます。このゲームをやりたいがためにPCエンジンを購入するという人間も現れ始め、一部の人間のためだけのハードだったPCエンジンは息を吹き返します。この成功を見た各メーカーは、似たタイプのゲームを次々と発売するようになります。当然ターゲットはPCエンジン所有者ですから、PCエンジンでギャルゲーがガンガン発売されるようになります。
PCエンジンの終焉
ときめきメモリアルの出現により息を吹き返したPCエンジンでしたが、それ以後はギャルゲーが多く販売されるようになり、通常のユーザーがやりたがるゲームは販売されなくなっていきます。ギャルゲーはPCエンジンで出せば売れるけれども、それ以外のジャンルのゲームはPCエンジン以外のハードで出した方が売れるのですから、当然といえば当然です。PCエンジンが今話題に上るときには、必ずと言っていいほどギャルゲーマシンといわれてしまうのは、このような背景があるからです。どうしても目立ってしまうんですよね。PCエンジンではギャルゲー以外の名作も多数発売されてはいるんですが・・・。最終的には、次世代のハードに移行していたこともあって、PCエンジンはギャルゲーマシンという余り有難くないレッテルを貼られ、そのハードとしての生涯を終えることになります。PCエンジンはこの後、PCエンジンのギャルゲー部分だけを色濃く受け継いだPC−FXにその場を譲ることになります。
PCエンジンの名作ソフト
PCエンジンは末期の頃の印象があまりにも強く、名作といえばギャルゲーしかないように捉えられがちですが、実際にはそれ以外の名作も数多く販売されています。冒頭で登場したR−TYPEや、ハドソンが製作し、今でもシリーズが作られている天外魔境シリーズなど、優良ソフトも数多く販売されています。ナムコやコナミといった、今でも有名なソフトメーカーからも、ファミコンでは再現できないゲームをPCエンジンに供給しており、名作が多数作られています。
PCエンジンで遊ぶためには
PCエンジンは10年以上も昔のハードなので、今現在入手することは非常に困難です。中古ショップに行っても扱っていないところがほとんどで、通常の方法では入手することは難しいです。PCエンジン本体やPCエンジンのソフトを入手するためには、秋葉原などに行って探すか、ネットオークションで探すか、中古で扱っているお店の通信販売を利用するかくらいしか方法がありません。ただし、PCエンジンのソフトで遊ぶというだけなら方法はあります。任天堂から発売されるWiiで、PCエンジンのソフトを遊べるようになることが発表されています。どのソフトが遊べるようになるのか、また値段はどれくらいなのかなど、詳細は未だ不明ですが、PCエンジンの名作が遊べるのは間違いないでしょう。
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